快投!!乱舞を誘う

 

快投!!乱舞を誘う

 

 

 

 出場停止明けのズレータが、この試合から戻って来た。ソフトバンクの先発は杉内。

 

 この日誕生日の江尻にとって不足のある相手ではない。思えば3年前のこの日、ファーム戦とは言え西武相手にバースディノーヒットノーランを達成している。四球一個と言う準完全試合だった。札幌ドーム2万4千人の観衆を前に、あの時のイメージを掻き立てたに違いない。4月30日。ソフトバンク6回戦。パフォーマンスの舞台は完璧に整っていた。

 

 

初回は難なく3人で切って取る。そして、魔が差したとしか思えない2回表がやって来た。この回先頭の4番松中の当たりは痛烈なライト前ヒット。そして問題児ズレータの打席。期せずして観衆からブーイングが沸き起こる。江尻も意識したのかインコースを攻め切れなかった。レフト前に連打を浴びる。ノーアウト1塁2塁で、6番柴原が送りバントを決める。7番本間への一球目、外角高目に入るストレートは明らかな失投だった。レフト森本が背走、フェンス際、向こう向きで捕球した。この状況での1点は仕方がない。本間の打球が抜けていれば2点は覚悟しなければならなかった。まだ信じていられた江尻のツキ。ところがどうだ。2塁にいるはずだったズレータが何食わぬ顔で本塁に還ってくるではないか。本間の犠牲フライで3塁に進んだまでは分かった。その後が繋がらない。江尻が8番松田の打席で犯したボークによる2点目。繋がらないはずだ。教科書のような江尻の投球フォームを以ってしても、自らの乱舞の兆候は止められなかったのか。

 

 

 3回表、ホークスの攻撃。9番的場が外角のスライダーに泳ぎながら、レフト前にしぶとく運んだ。打ち取っていた当たりだけに嫌な予感が走る。いつもの先入観と言った方がいいだろう。江尻崩壊のパターンは、判で押したように無駄なランナーを背負った時なのだ。バッターは1番大村。一球でセカンドゴロダブルプレーに打ち取る。

 

 4回表、三者凡退。3番カブレラ、4番松中、5番ズレータの打球は外野にすら飛ばなかった。5回表、6番柴原にセンター前に弾き返される。7番本間の送りバントで柴原を二塁に背負うも連続Kで切り抜けた。7回表、この回先頭の4番松中にセンター前ヒットを許す。点差は2点、間違いなく決勝点に繋がるランナーだ。バッターは5番ズレータ。江尻は臆することなく内角にストレートを配した。サードゴロダブルプレーだ。いつもの先入観を抱いてしまった身を恥じたい。

 

 

 しかし、江尻の快投にハム打線が応えてくれない。杉内の前に残塁と凡打の山を築く始末だ。8回表、その情けない貧打振りに渇を入れるように二者連続三振。9回表は2番川崎を三球三振に屠ると、3番カブレラ、4番松中も内野ゴロに仕留めた。

 

 9回を投げ切って、投球数100、奮三振7、被安打5、与四死球1は完封勝利の内容だった。

 

 来週は地元での楽天戦。楽天に限らず、今の江尻の敵はボークを犯した己だけだ。二敗目は気にすること無かれ。

 

 平成18430日 斉藤 茂

 

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