タラレバが許される今季初黒星

 

タラレバが許される今季初黒星

 

 

 

 先発投手がマウンドに上がるまでは完全試合を頭に描くと言う。大それたことを先発の矜持がそう思わせるのだ。 但し、ほとんどが早い回に潰えてしまう夢に過ぎない。

 

 

 4月9日、日本ハム対西武3回戦。この日もサンデー江尻の登板だ。観衆2万3千人を前に投げる気持ちは悪かろうはずがない。

 

完全試合の見果てぬ夢は3回表まで持続した。それまで外野に飛んだ飛球は5番和田のライトフライだけ。三振2つ。上々の立ち上がりだった。この回先頭の中村の当りをショート金子が取り損ねランナーを一塁に許す。8番炭谷の送りバントで1アウトランナーは2塁。まだ、ノーヒットノーランの可能性は残っていた。と言うより先取点の嫌な予感が漂う。9番高木にレフト前に合わされて、残るは完封の楽しみだけになった。それ程、悠長な江尻とは思えなかったが、1番栗山をダブルプレーに取って、ピンチを切り抜ける。

 

 

そして、タラレバを許してやりたい魔の4回が訪れた。1アウトからバッターは3番中島。2&1と追い込みながら、後は明らかなボール球を三つ。この四球が無かっタラ。一回目のタラである。続く4番カブレラにはすべてボールと分かる球を四球続けて文字通りのフォアボール。この四球も無かっタラ。そして、5番和田に対する一球目。四球の後の初球である。それも二つ続いた後の初球だ。刎ねて下さいとばかりに首を出すような内角への緩いカーブだった。そんなリードはナイゼヨ!!この日の江尻のストレートの威力を忘れてしまったのか!慎重を期すなら外角へ探りのスライダーもあったはずだ!選択肢の多い江尻に、お前が要求した球をもう一度思い出してみろ!高橋の大罪によって飛び出した3ランホームランを打たれなけレバ。江尻の好投を思えば、この日だけは許してやりたい2タラ1レバであった。

 

 

ハムの拙攻も江尻の足を引っ張った。3点取られた直後の4回裏1アウト1塁2塁、バッターは4番セギノール。何を思ったか、まさかのダブルスチールだ。2塁ランナー・マシーアスが3塁々上で憤死、4番セギノールのプライドを痛く傷付けてしまう。7回にはノーアウトで出した2人のランナーを還せなかった。

 

一方、5回以降の江尻のピッチングは見事の二文字に尽きる。打たれたヒット僅かに1本。通算でも3本しかヒットは許していない。奪った三振は4個。9回表4番カブレラへの2球目は新球シュートボール。充分にその威力を見せ付けられた。最後は外角へボールになるフォークボールで空振り三振に仕留める。この三振劇を巡って西武ベンチに色めき立つシーンが見られたが、当の江尻は堂々としたものだった。

 

ハムの打棒振るわず結果は3対1に終わるが、久方ぶりにマウンドの王者江尻を見て溜飲が下がる思いだった。二桁勝利の予感が現実のものとなって欲しい。

 

平成1849日  斉藤 茂

 

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