アマチュアの錬金術師!?江尻

 

アマチュアの錬金術師!?江尻

 

 

 プロ野球選手は皆、自分のいい時を知っている。だから不調の波に敏感なのだ。

疫病神であるが、口にしてみるとこれでなかなか「不調」の響きは使い勝手が良さそうである。

 

 選手のインタビューを聞いていると、「調子そのものは悪くなかったので・・」「何とか悪いなりに・・・」等々、不調を匂わせる単語を意識的に使って、言い回し自体を玉虫色にしてしまう傾向が窺える。

 

 調子が悪いなりに勝てたかと言えば、それはヒーローインタビューの方便に過ぎない。常人の調子の悪さの遥か上を行って勝てたのか、単に謙遜なのかは、表現した当事者にしか分からないのだ。

 

 しかし、不調と受け取られようが一向に構わないのである。打たれる杭を好き好んで出す必要はないのだ。絶好調を宣した巨人の中畑は別として、不調の二文字がマスコミ対策には意外な効力を発揮している。

 

 問題は、表現上の不調ではなく、実際に陥る不調であることは言うまでもない。

 果たして、江尻の不調は深刻なものなのだろうか。

 

 プロスポーツ選手に限って言えば、不調の本質は欲と慢心である。

 慢心は絶好調を懸命に維持したいと願う健気さの裏返し、うなずける邪心である。

 大敵は欲。いい時の自分に戻りたい、或いはそれ以上の自分を追及したいと願う欲望は、歴然とした向上心であるからして始末に負えない。

 

 その不調の巣窟が今の楽天であろう。阪神・近鉄と渡り歩いた川尻は通算60勝、近鉄からやってきた高村祐は83勝、日ハムから移籍した河本は中継ぎ抑えで34勝、如何にベテランとは言え、これ程の実績の持ち主に最低5勝ずつを期待しても罰は当たらない。その彼等が揃ってファーム暮らしである。絵のような素晴らしい時を知っている彼等が、始末に負えない向上心に立ち向かって粉砕された結果である。

 

 江尻、プロスポーツ選手の不調とはこんなものだ。今、さしたる実績を持たない君が必死になって追い求めているものがあるとすれば、それは虚像だ。笑止な錬金術だ。アマチュアが追い求めて、結果スランプの迷路に嵌るものをどうして追求するのだ。

 

 いっぱしに不調を囲っている今の君に、慢心意外の原因は見出せない。

 しかし、三度のノックアウトで、それも露と消し飛んだことだろう。

 振り返れば、いつの間にかダルビッシュが迫ってきている。憧れの甲子園のマウンドは今日か明日か。いずれ、サバイバルゲーム。後は無い。

 

東北朝日プロダクション  斎藤 茂

 

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