♪意気消沈!?の我が江尻♪

 

♪意気消沈!?の我が江尻♪

 

 

 エラーは意欲の裏返しなんですよ。と、言ったのは、かつてのみちのくの名将・竹田利秋監督。意欲が意識過剰を生みエラーが生まれてしまうのだ。

 

 一試合での一つのアウトは1/27に過ぎないものを、江尻の場合、並々ならぬ闘争意欲が相手打者への意識過剰となって現れるのだ。 江尻の身上は、思い切った腕の振りから生まれる、切れのいい投球である。細かなコントロールも、思い切りよく腕を振るからボールがコーナーに決まってくれるのだ。そして、思い切りは無心の産物である。

 

 6月5日、チーム5連敗を受けての名古屋ドーム、交流戦対中日6回戦のマウンド。江尻は1回と3回に新庄とセギノールの2本の3ランホームランで6点もリードを貰っておきながら、勝ち投手の権利を掴む5回に崩れてしまった。意識過剰で貴重な5勝目をフイにしてしまった。(この試合では負けも付かず4勝3敗のまま)

 

 4回までの完封ペースとはうって変わって、1アウトから、8番谷繁のレフト前ヒットと9番代打大西への四球で2塁・1塁のピンチを招いてしまう。1番荒木に1&2からレフトライン際に痛烈なラインドライブをかけられて1点を献上。

 

 ランナーは依然1アウト2塁・3塁。2番井端が1&0からの2球目を3塁線に絶妙なセーフティバントを敢行するが、3塁手小笠原が判断良くファールゾーンに転がるのを見極めた。井端がしぶとさを発揮したのは、2&0となったここから。カウント2&2まで3球を江尻に費やさせ、四球を嫌って勝負に出た6球目のストレートを、狙い澄ましたようにライト前に弾き返した。井端の勝負強さに脱帽と言った感じで、この回あっさり3点を許してしまった。

 

 打者との細かい駆け引きに興じるだけのコントロールは、江尻の場合、その心情から生まれる。勝負を賭けたストレートは、井端の術中に嵌って投げさせられたようなもの、初めからオダズモッコのノリに欠ければ、腕は振れなくて当たり前だった。

 

 5回1アウト、6対3とリードしていながら、5連敗中のヒルマン監督は江尻に交替を告げる。そして、代わった吉崎が、6番アレックスに3ランホームランを浴びてしまい、この5回一気に7対6と中日の逆転を許してしまった。

 

 それにしても、3回に貰った6点の大量リードが、江尻の腕の振りを実に小気味よいものにしていた。その裏と4回は内野ゴロ3つと3三振を奪う見事な内容。対して、勝ち投手を意識した5回は、1アウトから1四球、3安打、3失点と、まるでジキル&ハイドの投球になってしまった。刻々と江尻の無心が蝕まれていく過程を、この日の試合展開が如実に物語っていたとは、何と言う皮肉だろうか。

 

 連敗ストップに躍起になって江尻を下げたヒルマン監督の心情は理解出来るとして、二度のノックアウト後、首脳陣の不信感を払拭すべき立場の江尻が、あっけなく精神的脆さを曝け出してしまったことに、言い知れぬ不安感を覚えてしまった。

 

東北朝日プロダクション  斎藤 茂

 

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