いわき球場観戦

 

楽天VS日本ハム観戦記~江尻今季初白星~

 

 

 

 いわきグリーンスタジアム。ちょうど10年前、仙台ニ高3年の春の東北大会で、江尻はこのマウンドを経験している。試合後に、あの時の思い出が後押ししてくれたと語っていたが、実は自分を奮い立たせる為に、そうせざるを得なかったと言うのが本音ではないだろうか。そう思わせるだけの不安な立ち上がりだった。

 

  幸先良く1対0とリードを貰った1回裏。楽天の先頭打者磯部の振り逃げ(公式記録は四球)と2番高須のライト前ヒットで、ノーアウト1塁・3塁の先制機を許してしまう。3番吉岡にレフト前へ弾きかえされて同点に追いつかれるのだが、自らの判断ミスでスタートが遅れた1塁ランナー高須を2塁々上でフォースアウトに仕留める僥倖が待っていた。記録上、吉岡のタイムリーヒットをレフトゴロに変えてしまう辺りに、江尻の強運が見て取れる。依然ノーアウトで1塁・2塁にランナーを背負うのと、1アウト1塁とでは、この日の立ち上がりからして、天国と地獄程の開きがあったと思われる。打ち込まれ火達磨になってもおかしくないケースを、ダブルプレーでしのいで、江尻は初回を最小失点で乗り切った。1回裏の投球に、勝敗の帰趨が凝縮されていたと言っても過言ではない。

  

 楽天高須のボーンヘッドを誘った要因として、野球解説者の真弓氏は経験不足を指摘する。

 

「高須にはフル出場の経験が少ないんですね。つまり、ゲームに出続けることで覚える<抜きどころ>を心得ていない為に、彼はどの試合でも全開状態だったと思うんです。ちょうど開幕して10試合目、張り詰めていたものがプツンと切れてもおかしくない頃なんですね。初回の走塁ミス、終盤のタイムリーエラーはその為でしょう。ベテランですが、ショートの酒井にも言えることです」

  

 中盤から立ち直りを見せた江尻だったが、結局、楽天の自滅に助けられての、今季初白星と言う見方が強いようだ。江尻の投球について前出の真弓氏は更に厳しい。

 

「ストレートの伸び、変化球の切れとも合格点はつけられません」

 

そして、某スポーツ紙の楽天担当記者は・・・。

 

「個人的には、自分の不出来を言い訳にして来るところが良くないと思う。結果的に内輪話で相手を侮蔑していることになるんだからね。サラリと言ってのけるのがプロと言うものじゃないかな。一勝は一勝!胸を張っていいことだが、次の西武戦は、このままじゃ苦しいんじゃないかな・・・」とかなりの辛口だった。

  

 出る杭は打たれて当然である。今後、辛口のマスコミに対しては結果を出す以外に手はない。次回の登板予定は12日、インボイス西武ドームでの西武5回戦が濃厚だ。試合後のブラウン管に偶然登場したオッツアン応援団の出る幕はおそらくないと思われる。

 

 

東北朝日プロダクション 斎藤 茂

ダウンロード
20050408いわき観戦記.pdf
PDFファイル 15.1 KB